自分を承認できなければ、他人は承認できない、のか
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「自分を承認できなければ、他人は承認できない」

というのは私が信じている命題です。自分が肯定できないでいて、どうして他人を肯定できるだけの余裕があるのか。心の病、たとえば鬱病にかかっている人に他人の承認はできるでしょうか。できたとしてもそれは口先だけのことでしょう。

ただ、ここで考えなければいけないのは、自分を承認するということはどういうことか、です。私は自分を承認できる人というのは以下の2つが想定できると思います。

@自分に能力・才能そしてその結果であるところの実績があるから自分を承認できる。

A自分は宇宙生命との一体感を自覚し、その結果として他人とも一体感を自覚しているから自己承認どうこうというのはさして気にかけない。そして自分は醜くちっぽけな存在だという謙虚な下座の心を持ち合わせている。


Aは宇宙生命との一体感を観じており、自分を卑下しているようですが、宇宙生命(造物主)の提供する力に支えられて安住している境地です。Aは明らかに@が進化した状態です。宇宙生命との一体感こそ究極の自己承認と言えるのではないでしょうか。

しかし@の段階を経ず、急にAの境地にたどり着けるものでしょうか。とてもそうは思えません。またAの境地にある人が、自信・自負に欠けるということも考えられません。

ということは、単に自己承認できないだけであれば、やっぱり他人を承認できないと考えます。やはりわれわれ凡人は自分の長所を磨きつつ、自分を高めることが自己承認への正しいアプローチだと思います。

コーチングを大所高所から見ると
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人間は、というより生きとし生けるもののすべては、宇宙全体に遍在する生命によって生かされています。この生命の根源なる生命を理解することが「悟り」であり、意識的にせよ、無意識的にせよ、この宇宙生命とつながる(一体感を持つ)ことができたものが、大いなる力をまとい、幸福や成功を手に入れるというのは多くの書籍に書かれている通りです。

この宇宙生命、ひと言で言えば生命にして愛であるわけですが、愛はしばしば情愛とか性愛を連想させ、誤解を招きやすい言葉です。仏教では慈悲と言うのですが、仏教語であり、これまた宗教のフィルターを通ってしまいます。

そこで提案したいのが一体感(ONENESS)という言葉です。宇宙生命の理解のしかたはいろいろな切り口があると思いますが、この一体感(ONENESS)でとらえれば、どういうことになるでしょうか。

宇宙生命を親ととらえれば、私たち一人一人は子ということになります。親子で一体感を持つべきなら、子同士でも一体感を持つべきだ、ということになります。なぜなら子同士は親を通してつながっているから、一体感は当然です。そうして子同士の一体感を持つツールがコミュニケーションということになります。

だからコミュニケーションにおける「自他の一体感」は宇宙の摂理に根ざしたものということになります。コミュニケーションの成否はコミュニケーションをはかる側がどれだけ相手との一体感を持てるか、で決まるわけです。

コミュニケーションの一手法に過ぎないコーチングですが、「自他の一体感」を実現するための手法でもあるわけですね。

コーチングという単なる一手法も大所高所から見ると結構意義深い、ということになります。そしてその目指すべき本質が決して口先だけの会話術ではなく、スピリチュアルな自他一体感だというのがおわかりいただけることと思います。

自他の一体感こそリーダーシップの源泉
708



「自分がされたいように他人にせよ」というのは黄金律と呼ばれます。

誰しも他人からも好かれたいという欲求を持っています。他者を好きになれば、その気持ちは返ってきます。というのは誰しも他者から好かれれば、その好意を相手に返したいと思うはずだからです。この意味では自分と他者はつながっていると言えます。つまり黄金律は結果として自他の一体感を生むわけです。

自他の一体感(onenessという)が強い人ほど、包容力のある大人物で、世の中のすべての人を味方にすることができます。一方この自他の一体感の弱い人ほど、排他的な小人物で、敵ばかり作ることになります。

結局人生の目的はこの「自他の一体感」を涵養することでしょう。幸福や成功、そして有形・無形の財産と言ったものはある意味、この「自他の一体感」の結果であると言えないでしょうか。コーチングにあっては、セッションを通してどれだけクライアントさんと一体感を育てることができるか、これが勝負だと思うのです。

私がコーチングをやってきて最近感じることがあります。セッションを離れたふだんの生活でも、どれだけ相手と一体感を持つことができるか、これが勝負だということです。相手と一体感を持ち得たときにこそ、物事が最高の状態で進んでいくように思います。

この「自他の一体感」を育てるやり方が承認です。なんでもかんでも肯定すると言うことではないのです。相手の気持ちやあり方は肯定する、しかし意見の相違は調整して、よりよい選択をするということです。議論していても根底に相手の肯定がある状態です。自他の一体感とは承認の波動、といったところでしょう。

この自他の一体感があってこそ、職場でも家庭でも等しくリーダーシップを発揮できるものです。自他の一体感と承認の波動を持った人物は、神聖不可侵の雰囲気があります。周囲が滅多なことで批判したり害したりができません。波動ですからその雰囲気が「皆の衆」を巻き込んでいく、というわけです。

結婚の選択
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ふた昔くらい前の話ですが、私の独身時代は女性の適齢期をたとえるのに、24はクリスマス・イブ、31は大晦日、といった言い方がはやったことがありました。

私は男なのでこのたとえの真意をあまりよくわかっていたわけではありません。しかし、男女いろいろなクライアントさんの話をうかがうにつれ、はずかしながらようやくその本当の意味を痛感するにいたったのです。

子供をつくることを前提の結婚は女性の場合35歳が上限です。それ以上は子供を作らない結婚を選択しなくてはなりません。

結婚するしないを含めて子供をつくらないことを選択すれば、周囲が子供の話をした場合ついていけず、落ち込む思いをすることも覚悟しなければなりません。つまり子供を作らないというのは、子供がいる人からある意味、気をつかってもらう必要がある、ということです。

もし大晦日の31歳の女性がいたとして、あと選択できる時間は4年しかないよ、ということなのですね。

もちろん人生結婚して子供をつくるのがすべてではないし、結婚して子供をつくった人が幸せだとは限らない。しかし女性の場合、人生の一大事であることは間違いありません。

これにひきかえ、男は気楽なものです。基本的にいつでも結婚できるし、相手が若ければいつでも子供をもうけることができるわけです。だから頭では理解できていても、私の場合、女性の切実感を本当にわかっていたとは言い難いです。

30台の独身女性をコーチングすれば、いやでもこの問題はさけて通れないでしょう。

現実はシビアなのですが、39歳で出産した松坂慶子のような例もあり、35歳を上限と決め付けるのはいささか乱暴でもあります。だから世間ではこのシビアな現実をあまりあからさまには語りません。そのためか男女とも子供のように内気で、結婚についてあまり考えていない人は結構います。

結婚しないのも選択だし、子供を作らないのも選択です。でもその選択は軽くありません。その人の生き方についてコーチングさせていただけるのなら、こうした選択に真剣に向き合うことをクライアントさんに促がさざるを得ない、といった側面はあります。きれいごとだけ言っててもダメだと思うのです。

満足できない=人生楽しめない、のか?
706



ある女性クライアントさんは十分人生を楽しめていないと言われました。どうしてと訊くと、

「自分の立てた目標が達成できていないから」

なんだそうです。確かに目標達成できないで満足できたものではありませんが、

満足できない=人生楽しめない

は必ずしも正しくないでしょう。満足できなくても人生は楽しめるに越したことはありません。目標達成できないと人生を楽しめないといった一面は必ずありますが、目標達成と人生を楽しむことは混ぜないで分けたほうが良さそうです。

そこでこんな話をしました。

未婚で独身の女性は周囲が子供の話で盛り上がると落ち込むそうです。既婚で子供がいない女性は独身の人に比べるといくぶんましですが、同傾向です。

では、子供がいればOKなのか。既婚で子供がいても、不幸な女性は世間に掃いて捨てるほどいます。子供がいて幸せな結婚生活を送っていても、孫がいない年配女性は他人が孫の話をすると不快なのだそうです。新聞でそういう相談を読んだことがあります。

結局、不満の種は尽きることがないのですね^^。理想からの減点で物事をとらえるとどうしてもこうなってしまいます。

「未婚で独身の人は周囲が子供の話をするだけで落ち込むそうですよ。○○さんは家庭も子供も仕事も一応すべてお持ちなわけですし、人生楽しめるのが当然なのでしょうね」

と言ったところ本人も同意されました。

人生を楽しむという側面においては、理想からの減点で物事をとらえると人生楽しめませんが、ゼロからの加点で物事をとらえると、たとえ満足できなくても、もう少し人生は楽しめそうです。理想からの減点ではなく、ゼロからの加点、というのがポイントのような気がします。
750 いいカウンセラーの資質
749 承認の人生と批判の人生
748 後ろ向きの話は短く、前向きの話を長く
747 欠点は改めないで、目立たないように工夫する
746 そこにいるだけで元気の出る人

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745 あげまん、さげまん
744 承認が承認たりえるためには
743 承認は人格のバロメーター
742 承認と安堵感
741 プラニングは朝一番に余裕をもって行う

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740 マジョリティが年下
739 鳴門・徳島に一泊旅行
738 若さとは
737 「やり方」と「やる気」
736 自分で考えることにこだわる人

*
735 他の助言者を引き合いに出すべからず
734 悔しい経験は明日への糧
733 個人差があるので焦らず頑張れ
732 20代半ばでコーチになれるか?
731 人は言葉によって生きる

*
730 わが部屋
729 臨床 作業療法に寄稿
728 一日一件
727 ピンキリの研修講師
726 相手を説得する方法

*
725 納得できない書き方
724 受講者の質
723 グーグル1位に返り咲き
722 何でも誠心誠意やればいいというものではない
721 書評

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720 ONE ON ONE
719 コーチングは提案で決まる
718 オフハンド・スピーチ
717 ため口
716 日経社告に再登場

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715 答を渡すのも引き出しのうち
714 これから起こる問題についてのコーチング
713 業界の受益者
712 再度日経経営セミナーに登場
711 それ、やめときませんか

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710 自分を承認できなければ、他人は承認できない、のか
709 コーチングを大所高所から見ると
708 自他の一体感こそリーダーシップの源泉
707 結婚の選択
706 満足できない=人生楽しめない、のか?
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705 セルフ・コーチングはブログで
704 グーグル1位陥落
703 守秘義務
702 仕事をしない工夫
701 型を崩すのもひとつのやり方


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