いいカウンセラーの資質
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心療内科をやっておられるクライアントのH先生と、いいカウンセラーの資質とは、という話題になったことがあります。H先生は第一条件として、

「明るく健康的な人」

と言い切りましたが、これは私の日ごろの思いと完全に一致しました。いかに真面目でもネクラのカウンセラーは使い物にならないと思っています。暗いのは患者さんに任せておけばいいのです。その意味では患者さんはブラックホールみたいな人が大半です。ブラックホールに明るさを吸い取られても、なお輝いているくらいでないとカウンセラーはつとまりません。

その明るさはどこから来るか、というとやはり自己承認の度合いです。自己承認で宇宙の摂理としっかりつながることによって、吸い取られても吸い取られても尽きない明るさが供給されるわけです。この意味では自己承認できていないカウンセラーは早期につぶれてしまうわけです。

しかしカウンセリングを学んだところで「宇宙の摂理とつながれ」とは書かれていません。ほかの職業はともかく、とくにカウンセリングは自己承認によって摂理につながる必要があります。偏見かもしれませんが、ネクラな人は自己承認が十分ではないのだろう、と思っています。宇宙の摂理としっかりつながった人は、生気に満ちていておおよそネクラはありえないからです。

またカウンセリング(コーチングもそうですが)は、始まりは特に明るい声を出す必要があります。冒頭ぐらい奮い立たせるくらいの気合がないと、カウンセリング全体が沈んでしまうでしょう。実際にカウンセリングなりコーチングなりに携わって来られた方は、おそらく理屈抜きにこの点は同感していただけるものと思います。

承認の人生と批判の人生
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生長の家の谷口雅春先生が以下のように書いておられます。

我々の性格の中で最も面白くない種類の性格の一つは「他の欠点を見つける性格」である。よるとさわると何か他の欠点を見つけて、それを話の種にしなければならないのである。かくの如き性格の人の所へはいつまでも彼に対して忠実なる協力者は集まって来ないのである。古い深切な部下の者はことごとく離散してしまい、彼に踵(きびす)をかえして悪口を言うようになるのである。それはなぜかといえば、自分自らが彼らの欠点を見つけて悪口を言う性癖をもっているからである。

『青年の書』 谷口雅春 1964年 日本教文社


誰からも慕われる人になるにはこの逆をやればいい、というのは明白です。要は他人の長所を見出して、それを積極的に口にすればいいのです。面と向かって口にしてもいいし、陰で口にしてもいい。そうすればその人には忠実な協力者は集まってくる、ということになります。

他者を批判しないだけでも全然違います。他者を批判せず、和顔愛語を心がけるのも、ほぼ上記と同じ状況を生みます。

つまり承認の人生をおくれば人を引き寄せ、批判の人生をおくればひとり寂しく孤立するわけです。なぜなら承認は自らを摂理と結びつける行為であり、批判は自らを摂理から遮断する行為であるからです。

人間が人間たる徳を持ち合わせるには承認の人生が基本です。とくに家族や友人に対しては承認が不可欠です。家族や友人とは決して批判を口にしない関係を築く必要があるのです。

とはいえ、どうしても思想信条的に承認できない輩はいます。私にとっては旧態已然の左翼主義者がそうで、A新聞などは読めば血圧が上がります。だれかれとなく承認するのもできない相談だとも思います。

後ろ向きの話は短く、前向きの話を長く
748



傾聴は大切です。

しかし、だらだら傾聴すればいいというものでは断じてないと思います。誰しも愚痴や弱音をはいてしまうことはたまにあります。これは仕方がない。そしてその程度であれば、

「そりゃ、無理ないですね」とか、
「お気持ちはわかります」

と承認して差し上げます。しかし、それで打ち止めにすべきです。打ち止めにするのは割と簡単で、

「それがどうなったらいいのですか」とか、
「それをどうしたいのですか」

と理想となる姿を問えばいいのです。その後は、

「その方向に行くためには、さしあたって何ができますか」

と言えば、ふつう愚痴や弱音は後を引きません。不安や不満をいたずらに増長させるだけの発言をほしいままにさせて、それを傾聴するのは百害あって一利なしです。クライアントはますます不安や不満を募らせて、堂々めぐりし後味の悪いセッションになるからです。後味が悪いだけではなく、その言霊はクライアント・コーチともに悪影響を及ぼすことは必定でしょう。

とくに傾聴して問題の原因がだいたいわかったら、過去に深入りしても効果ないと思います。過去は変えられないわけですから。傾聴はするが要所を押さえる、ここのところが大切です。これができれば、セッションの時間は短くてすみます。

ただし、私個人のやり方としては行動を策定するための前向きの発言に関しては十分時間を取って傾聴すべきだと考えています。

結論として、後ろ向きの話は短く、前向きの話を長く、がポイントだと思うのです。

欠点は改めないで、目立たないように工夫する
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「欠点を改めよ」

私は長上からこう言われて育ちましたが、結局欠点を改めた記憶は余りありません。欠点を目立たないように工夫したに過ぎないのです。欠点は長所の裏返しであることが多いので、欠点など改めた日には、長所までつぶしてしまう恐れがあるのです。

たとえば、声高のものを言う傾向のある、声の大きなクライアントさんがいらっしゃいます。普通の会話ではテンションが高めで、時には怒っているように取られることもあるそうです。この人が自分のありようはダメなのだろうか、という疑問を投げかけられたときに、私は以下のように申し上げました:

「前巨人監督の川上哲治氏に、見所のある人材はどう見分けるのか、とある人が問うたところ、

『それは語気の強い人ですよ。長嶋や王はいずれも新人時代から語気が強かった』

と答えたそうです。つまり、声高にものをいう人は、自己主張が明確で、頭角を現すという長所はあるといっていいわけです。だから、欠点は改めないで、目立たないように工夫すればいいんですよ。たとえば日常会話は冗談をたっぷり言って、努めて上機嫌な感じでいる、ってのはどうです?」

もし私が、

「そうだ、その通りだ、改めるべきだ」

と言ったとすれば、相手は少なからずめげて、かえってせっかくの長所にダメージを与えてしまうと思うのですが、どうでしょうか。私はいつも、

「欠点は改めないで、目立たないように工夫しましょう」

という言い方をするようにしています。この態度こそ最もよく短所が改善すると考えます。なぜか?それは、「欠点を改めないで」というステートメントに相手の「そのままのありよう」に対する承認が含まれているからです。欠点をなんとか工夫する意欲は、自他の承認によって自分に自信を持った時点で最大限に高まるのではないだろうか、と考えるからです。

そこにいるだけで元気の出る人
746



人生のコツは自分の周囲を承認で人間関係を築いた人で固めることだと思いますが、いかがでしょうか。

そのためにはまず家族とそうした関係をつくること、次に自分を承認してくれる友人と付き合うことです。友人とは自分の至らぬ点はあえて目をつぶって、良い点を承認してくれる人です。そのためには寛容な人を友人にすべきでしょう。

そして他人が自分に寛容であるためには、まず自分が他人に寛容であるべきだと思います。

承認をベースに人間関係を築いていくと、あとはあまり口頭で承認しなくてもよいのです。

話をすれば絶対味方になって承認してくれる相手とは、一緒にいるだけで十分です。姿を現しただけで、顔を見ただけで勇気百倍となるわけです。

人生の意義とはそこにいるだけで元気が出るような人と付き合うことだと思うのです。
750 いいカウンセラーの資質
749 承認の人生と批判の人生
748 後ろ向きの話は短く、前向きの話を長く
747 欠点は改めないで、目立たないように工夫する
746 そこにいるだけで元気の出る人
*
745 あげまん、さげまん
744 承認が承認たりえるためには
743 承認は人格のバロメーター
742 承認と安堵感
741 プラニングは朝一番に余裕をもって行う

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740 マジョリティが年下
739 鳴門・徳島に一泊旅行
738 若さとは
737 「やり方」と「やる気」
736 自分で考えることにこだわる人

*
735 他の助言者を引き合いに出すべからず
734 悔しい経験は明日への糧
733 個人差があるので焦らず頑張れ
732 20代半ばでコーチになれるか?
731 人は言葉によって生きる

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730 わが部屋
729 臨床 作業療法に寄稿
728 一日一件
727 ピンキリの研修講師
726 相手を説得する方法

*
725 納得できない書き方
724 受講者の質
723 グーグル1位に返り咲き
722 何でも誠心誠意やればいいというものではない
721 書評

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720 ONE ON ONE
719 コーチングは提案で決まる
718 オフハンド・スピーチ
717 ため口
716 日経社告に再登場

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715 答を渡すのも引き出しのうち
714 これから起こる問題についてのコーチング
713 業界の受益者
712 再度日経経営セミナーに登場
711 それ、やめときませんか

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710 自分を承認できなければ、他人は承認できない、のか
709 コーチングを大所高所から見ると
708 自他の一体感こそリーダーシップの源泉
707 結婚の選択
706 満足できない=人生楽しめない、のか?

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705 セルフ・コーチングはブログで
704 グーグル1位陥落
703 守秘義務
702 仕事をしない工夫
701 型を崩すのもひとつのやり方


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