他の助言者を引き合いに出すべからず
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体験コーチングの申し込みで、たまにあるのが、現在カウンセラーにカウンセリングを受けている、と明記してある依頼です。

私は他人のカウンセリングの邪魔はしたくないので、特に納得できる理由がない限り、こんな依頼は体よく断ります。カウンセリング漬けになっても、効果なかろうと思うからです。言葉は悪いですが、相手がカウンセリング擦れしていそうで、引いてしまいます。依頼する側の礼儀(知恵?)として、他のカウンセラーやコーチは引き合いに出すのはどうかと思うのです。

過日、Aコーチのコーチングを受けようと思っているが、コーチングの勉強の仕方がわからないので、アドバイスいただけないか、と書いてきた若い女性がいました。もちろん、Aコーチは私ではないですよ。

「そんなもの、Aコーチに聞くのが筋じゃないですか」

と返事したいのをぐっとこらえて、

「私の書いた本をまず読んでみてください。その上でさらにご質問があるならお相手しましょう」

といなしておきましたが・・・

体験コーチングの最中に、現在、他のコーチのコーチングを受けている、と発言する人がいます。そうですか、と受け流しますが、何か比較されているようで、正直あまり良い気持ちはしません。ひどいのになると、

「現在、他のコーチのコーチングを受けているが、あなたのコーチングも体験してみたい」

という人もいます。もちろん次のコーチを探しています、だったら歓迎します。そうではなくて単なる体験だと言うのです。そんなことは黙っていればいいのです。それをわざわざ言う神経を疑いますし、こちらもやる気が出ません。今だったら、アサーティブネスを行使して、

「そうだったら、こちらもあまりやる気が出ませんね」

とはっきり言います。

一般論として、カウンセラーやコーチに対して、他のカウンセラーやコーチを引き合いに出すのは百害あって一利なしです。そんなことは言わずにおくのが正解です。こちらも訊いたりしません。そういうことに神経を使えない人は嫌がられます。カウンセラーやコーチだってクライアントを選ぶ権利はあるのです。

悔しい経験は明日への糧
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私はコーチングを始めてからまる4年になります。非常に気持ちが高揚したこともあるし、時として、つくづく憂鬱になったこともありました。コーチ側も喜怒哀楽は常です。今回は趣向を変えてネガティブな経験をご紹介しましょう。

今から3年以上も前になりますが、体験コーチングで当たった女性から下記のメールをもらったことがあります。3年も昔だから、一応時効ということで・・・

先ほどはありがとうございました。

広告としては金額的にそれほど大きくないものだ、という観点をいただけたこと。
HPにつけて残してあげる、というのは良い案だと思いました。

ただ伺っているうちに味方、コーチというよりは上司や父親と話をしている印象を
もってしまいました。
質問の仕方も上司から質問を受けているような印象で話しにくかったです。
そんなものはこんなもんやろ、っていうかんじでした。
そんなもの、のところもひとつひとつクリアしていったらこんなもん、と思えるよ
うに成長していくのだと思います。
杉本さんのこんなもん、という地点からの発言であって
わたしの今によりそった発言とは感じられませんでした。

アポの言葉一字一句までご指導いただくに至っては
あまりにもご指導いただきすぎで聞くに堪えなくなってしまいました。
女性だから?若いから?経験が浅いから?
前職は人材派遣業をしていましたので責任者の方と話をしたり流れを作るのは苦手
ではありません。
杉本さんはどう思われたか判りませんが前任者よりは数字を挙げて上からも
ある程度の評価を得ていますし、小学生でも今の自分にはある程度のプライドは持
って生きていると思います。

突然のコーチングに応じていただいたこと感謝いたします。
ありがとうございました。
きちんと感想をお返しすることが御礼につながると思いメールさせて頂きました。
電話に出てくれた息子さんや家族の皆様ともどもお元気でお過ごしください。


これを読んでると、私がどんなひどいセッションをしたのか、と思うでしょう?相手から何も返って来ないので、割と提案は連発したのは事実です。確かに当時は未熟であったと思います。しかし御礼にかこつけて言いたい放題批判され、正直気分が滅入りました。小一時間親身にタダで相談に乗ってあげたのに、この言い方はいくらなんでも、当方がかわいそうだと思ったものです。

他人に相談すれば、相手の言うことのなかには、自分がよく分かっていて特に聞く必要のないポイントは結構多いものです。まして相手が見ず知らずの他人ならなおさらでしょう。相談を受けるほうは取捨選択して聞く度量というものが要るのです。

それに、そんなに能力があるのなら、他人に相談なんかしなければいいのです。自信がない割には驚くほどプライドが高い人は世間にいるものです。そんな相手に「寄り添う」など至難の業というのはよくわかりました。相手が悪かったんだな、と思うしかありません。

コーチングではいろいろ悔しい想いをしてきましたが、これはその最たる実例です。この件は3年以上経った今もよく覚えています。風化させないためにも記事にしてみることにしました。

助言者たるもの誰しも似たような悔しい経験を乗り越えて大きくなるのでしょう。極めて不愉快な経験でしたが、明日への糧と考えることにしました。その結果、こういった手合いを嗅ぎ分けて適当に処理する能力も少しは発達しました。最近はここまでひどい思いをすることは少なくなったように思います。

個人差があるので焦らず頑張れ
733



新卒で就職したばかりの若者から連絡をもらいました。22歳とあります。もう配属されてから3週間経つのに、周囲から叱られてばかりで、やっていく自信がないと書かれていました。同期の仲間たちは問題なく仕事をこなしているのだそうです。

本人に何がダメなのか訊いてみると、実に正確に答えます。本人は自分を十分観察できているし、問題点も自覚しているわけです。それでこんなふうに言ってみました:

仕事は経験でこなす部分と、判断でこなす部分があるんですよ。不慣れな仕事は判断ばかり要求されるが、慣れてくると経験でこなすようになるわけです。つまり仕事に対してのデータベースができて、いちいち判断しなくてもいいようになるから楽になるんですよ。

あなたが受験勉強したときも同じだったでしょう。問題集の演習問題をどんどん解いていくと、慣れてきて、すらすら解けるようになる。しかし、始めのうちは解答を見たりしながら少しずつ演習問題に慣れていくわけですね。

今のあなたは問題集を解くのが遅い学生に似ていると思うが、どうでしょうか。

彼はうんうんとうなずきます。

もしあなたが、問題集を解くのが遅い学生から、もっと速く解けるようになるにはどうしたらいいか、と訊かれたら、どう答えますか?

ま、個人差はあるんだし、頑張れよ、と答えるしかないでしょう。私も同じですよ。学校でも跳箱ができない奴とか鉄棒ができない奴とか、いろいろいたでしょ?あなたもそうした生徒と同じというだけのことなんですよ。

ま、個人差があるので焦らず頑張ってください。

と言ってあげたら、

「頑張ります」

でセッションは終わりました。20分くらいのセッションでした。いままで学生だっただけあって、問題集のたとえはヒットしたようです。彼に必要だったのは単に「激励」であったと思います。

私は18で高校を出た直後に半年フルタイムで働いた経験があります。そのときに似たような切ない気持ちを味わっているのです。私も周囲から叱られてばっかりでした。彼にもぜひ頑張って欲しいと思います。

20代半ばでコーチになれるか?
732



たまに20代半ばの男女が、コーチになりたい、と言って連絡を取って来られることがあります。その文面には職業とかキャリアとかいう文字が見られます。コーチングの会社に就職するにはどうしたらいいのか、などと書いてくる人もいます。

いずれも、分かっちゃいない、というしかありません。コーチ業こそプロになる方法論が一切確立されていない百鬼夜行の世界なのです。職業でもキャリアでもなく、起業しようと思う人でないとプロはつとまりません。

コーチングを受けるのは20代半ばで問題ありませんが、コーチングのプロは20代ではどう考えても無理だと私は思っています。それどころか30代・40代でも、会話力・営業力を含めて適性がなければ無理です。

資格を取っても大半が鳴かず飛ばず、というのがこの世界の実情なのです。楽器を習った人のなかでも、音楽で身を立てる人はほんの一握りですが、コーチングも全く同じ状況なのです。

ですから、すぐに職業にしたいなどと思わず、興味を持って勉強を始めるというのならお付き合いします、と返事を出します。たいてい、失望した、という悪口雑言が返ってきます。だがこう言われて私を批判しているようでは、所詮その程度ということです。

ジャック・ウェルチのコーチは20代でなかったか、とも言って来ます。しかし、そんなものは例外中の例外です。だからニュースねたになるのです。20代の若者が提供できる助言が売り物になるか、私はよほどの天才でもないかぎり無理だと思っています。

ま、世間は広いので、こういった若者の「プロ・コーチを目指す」コーチングを誰かが引き受けるのでしょう。こうして勘違いしている若者からコーチ料金を取るのはどうあっても心が痛みます。

人は言葉によって生きる
731



とある方ですが、今の職場でうまくいかず、かといって転職活動も全くうまくいかず、かなり落ち込んでおられました。

ワン・セッションがほぼ愚痴で終わってしまいましたが、こういうのは珍しいです。前向きな話を仕向けるにしても、今回はちょっと状態が悪すぎたと思います。

私も鬱の一歩手前までは行った経験があるので、その経験に照らして言えば、あまり前向きな考え方を無理強いできないな、と思ったわけです。

時と場合によっては愚痴を聴いて終わる。それもやむを得ません。ただこれだけは申し上げておきました。

「人はパンのみによって生くるにあらず。言葉によって生きるのですよ。ですから自分の座右の書から自分に必要な言葉を見つけてください。その本を日ごろ持ち歩いて、時間があるときに開いて、1ページでもいいから読んでください。私はせいぜい気付きをお分けできる程度です。自分の心を染め替えることができるのは結局あなた自身だけですよ」
750 いいカウンセラーの資質
749 承認の人生と批判の人生
748 後ろ向きの話は短く、前向きの話を長く
747 欠点は改めないで、目立たないように工夫する
746 そこにいるだけで元気の出る人

*
745 あげまん、さげまん
744 承認が承認たりえるためには
743 承認は人格のバロメーター
742 承認と安堵感
741 プラニングは朝一番に余裕をもって行う

*
740 マジョリティが年下
739 鳴門・徳島に一泊旅行
738 若さとは
737 「やり方」と「やる気」
736 自分で考えることにこだわる人

*
735 他の助言者を引き合いに出すべからず
734 悔しい経験は明日への糧
733 個人差があるので焦らず頑張れ
732 20代半ばでコーチになれるか?
731 人は言葉によって生きる
*
730 わが部屋
729 臨床 作業療法に寄稿
728 一日一件
727 ピンキリの研修講師
726 相手を説得する方法

*
725 納得できない書き方
724 受講者の質
723 グーグル1位に返り咲き
722 何でも誠心誠意やればいいというものではない
721 書評

*
720 ONE ON ONE
719 コーチングは提案で決まる
718 オフハンド・スピーチ
717 ため口
716 日経社告に再登場

*
715 答を渡すのも引き出しのうち
714 これから起こる問題についてのコーチング
713 業界の受益者
712 再度日経経営セミナーに登場
711 それ、やめときませんか

*
710 自分を承認できなければ、他人は承認できない、のか
709 コーチングを大所高所から見ると
708 自他の一体感こそリーダーシップの源泉
707 結婚の選択
706 満足できない=人生楽しめない、のか?

*
705 セルフ・コーチングはブログで
704 グーグル1位陥落
703 守秘義務
702 仕事をしない工夫
701 型を崩すのもひとつのやり方


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