980 優雅さということ



私のコーチングのサイトでは、コーチングの学習を志す人には無料でコンサルティングをする、と謳っています。過日申し込んで来た人に候補の時間を連絡したところ、下記の返信をいただきました。

早速メールいただきありがとうございます。
ホームページを拝見し、コーチングの学習方法を無料でコンサルティングしていただけるとあり、申し込みをさせていただきました。
もし、無料で教えていただけるならありがたいです。

できれば、明日21:00〜22:00の時間(電話)でお願いします。

○○○○


ここまで無料、無料と言われると正直やる気をなくします。見ず知らずの人に自分も酔狂だな、と思ってしまいました。いろいろ考えたのですが、とりあえず、下記のように連絡しておきました。

○○○○さま、
すみませんが急用につき今日は辞退させてください。
また連絡させていただきます。


これで何も言ってこなければ、文面どおり単に無料だから申し込んで来た人なのでしょう。

無料のサービスを提供するのが決してイヤなのではないのです。しかし、無料のサービスを受け取ろうと言うのなら、優雅さというものが欲しいところです。もう少し相手をその気にさせる書き方というのはあると思います。無料とホームページでうたっているのだから、よろしくお願いします、でいいはずです。

979 控える・持ち上げる



家庭や学校で教えないのが、「控える・持ち上げる」といった美徳です。

世は上げて民主教育時代です。しかし、いかに民主的になろうと、上下関係はあるのです。部下は上司の前では、上司を立て、でしゃばらず控えている必要があるし、時には上司をヨイショして持ち上げなければなりません。何を封建的なと思うかもしれませんが、実社会で揉まれた人なら、「控える・持ち上げる」ことの大切さは例外なく理解しているはずです。

お恥ずかしい話ですが、私は若い頃、「控える・持ち上げる」ことの大切さを理解しておらず、今から思い出せば冷汗ものの失敗をしています。私のみならず、「あ、コイツわかってないな」という若者は今日しばしば散見されます。

外人ならもっとフランクだ、こんなのは封建的だ、と思いますか?私の見るところ、「控える・持ち上げる」ことの大切さは外国人どうしでも全く同じだし、むしろより厳しさを感じます。この美徳を理解するところから作法やマナーが身につくと私は思うのですが、どうでしょうか。つまり目上を上席に座らせる、目上に対しては愛想よくして、十分言葉を使う、といったことです。

日本の現在の家庭や学校の教育で欠けているのは「控える・持ち上げる」という美徳に対する理解だと思います。昔の武家や今の天皇家ではこの美徳が存在するわけです。確かに封建的な一面はありますが、円満で上質な人間関係には不可欠な要素と考えます。

親子兄弟といった家族間でも、「控える・持ち上げる」がきちんとできる家庭が円満で団結力があるわけで、これなしには機能不全の崩壊寸前の家庭環境と言わなければならないでしょう。

その上でコミュニケーションが正しく機能する。というか、「控える・持ち上げる」という美徳を根付かせるために、コミュニケーションを行使する。それがあるべき姿なのだと思います。「親しき仲にも礼儀あり」とはこのことを言ったものなのでしょう。

同じくコーチングという行為をしてもその場である人間関係に、「控える・持ち上げる」という美徳が定着しているかいないかでまるで効果が違うわけです。

978 短所を直す・長所を伸ばす



人間短所を直すべきなのか、長所を伸ばすべきなのか。こう問えば、どの人も例外なく、

「どちらも必要」

と答えることでしょう。短所を直すだけ、あるいは長所を伸ばすだけ、では片手落ちであるのは当然です。しかし大雑把に言って、以下の2つの考え方に二分されると考えます。

・長所は放っておいても伸びる。それよりも短所を直すべきだ。

・人間短所はそうは直らない。だから短所はあきらめて長所を伸ばすべきだ。

これは人生観の差でしょう。前者が減点主義、後者が加点主義であるわけです。前者は人を指導しても、その根底に批判があるので嫌われます。精魂傾けて面倒みても、部下は去っていくことになるでしょう。それに反して後者はその根底に承認があります。一期一会の出会いであっても後々まで慕われることになります。

前者は自然と批判・叱責といった外的コントロールに走りやすくなります。それ以外はありえません。外的コントロールに走ると頻繁に見られるのが意見と人格の混同です。

「それを早く言わんか、バカモノ」

と言うのと、単に、

「それを早く言わんか」

というのは同じようでかなりルールが違うコメントです。前者は行為の指摘と人格の批判がごっちゃになっています。後者は声を荒げずに言う限り、単に行為の指摘となっています。外的コントロールに訴える人は、意見と人格の混同という反則ワザを頻繁に使います。というか彼らはそれを反則とは思っていません。

私は以前上司から電話口で、

「だから、お前はダメなんだ」

と叱責されたことがあります。人格批判だけでも反則ですが、それを電話口でやるとは!私から言わせると即退場のレッド・カードです。このルールの違いは根本的には短所・長所に対する人生観の差から派生する、と私は考えているのです。

コーチングを身につけるためには、長所を伸ばす人生観に立つ必要があります。それなくしてコーチングを論じるのはナンセンスです。短所を直す人生観の人がいかに会話術を学ぼうと、その人生観が変わらない限り、コーチングが身につくことはないだろう、と私は考える次第です。

977 コーチングの認定



巷間の書道教室にはいろいろな団体があって、それぞれの団体が段や級を発行し、認定料を取っています。団体Aの発行した認定は団体Bに互換性はありません。国家資格でも何でもないから仕方がないわけです。

同様なのが、コーチングの認定です。今一番権威があるのがICF(国際コーチ連盟)の発行する、マスター・コーチ、プロフェッショナル・コーチといった認定です。認定発行しているコーチ21にしても、役員やスタッフは自社が発行する認定を名乗らず、ICFの認定を名乗っています。このあたり、ICF以外の認定はさして権威がないのは明白、というところでしょう。

それ以外は各団体が入り乱れて認定を発行し、囲い込みをしています。各団体と言っても紛らわしい。たとえば、日本コーチ協会と日本コーチ連盟という団体がありますが、うっかりしていると混同してしまいます。エノケンさんとエノケソさんの違いと言ったら失礼でしょうか。百鬼夜行ですが、私も百鬼の一翼を担っているわけです。

認定は極端なハナシ、私でも発行できるのです。認定料10万円でいかが。冗談のようですが、現にコーチ個人が発行している認定もあるようなのです。それが認定と言われるものの正体です。

認定を発行したり、買ったりは個人の自由ですから、好きにされるといいのです。はっきりしているのは認定とコミュニケーションの実力は別物と考えたほうがいいということ。認定を取るとか取ったと言っている人の中に、首を傾げざるを得ない人はいくらでもいるのが実情なので、本音を言うとこの世界はうんざりなのです。私個人は距離を置きます。

976 コーチングの研修



コーチングの研修講師を月1〜2回平均でさせていただいているのですが、研修後に先方担当者の方からこんなメールをいただきました。

昨日は大変有意義な研修になり、とても嬉しく思っています。
先生とご縁ができたことは、私にとっても大変意義深いものがあります。
実は仕事以外でも色々思うところがあり、心の整理ができたように思います。
ありがとうございました。また次回、お目にかかれるのを楽しみにしています。ありがとうございました。とり急ぎまずはお礼まで。


もともと丁寧な方なので、気を使ってねぎらってくださったのだと思います。しかし、加えて何かしら感じていただけたようです。こういうメールは一番うれしいです。今回の研修は前回受講された方が、「よかったよ」と言って紹介してくださった「リピート」なのです。2組の受講者に対し、同じ研修をそれぞれ1回ずつ実施するというご依頼でした。場所は名古屋郊外の大府市です。

私の現在の研修レパートリーは「コーチング概論および実習」だけですが、マイペースでやっています。研修講師は絶対遅刻できません。そのため目覚ましを複数個かけて、十分時間的な余裕を見て出発し、現地入りは1時間前です。午前中は2時間で昼休みですが、満腹するとしゃべりにくいので、昼ごはんは半分くらいしか手をつけません。帰りの車中で缶ビールを飲み干す時が最も開放感を感じるひと時です。
999 畢竟何を学ぶべきか
998 信によって立つ
997 今やってることと陸続き
996 わかっていても問いかける

*
995 祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ、さらば得べし
994 人見て法説け
993 長く続けたほうが勝ち
992 よくある話ですね
991 良きクライアントは良きコーチである

*
990 夢や目標がない
989 出会いと転機
988 外に出て行くべし
987 プロのコーチは昼間は何をしているのか
986 コーチングの金銭感覚

*
985 先制攻撃
984 自己啓発セミナー系社員研修
983 転職でコーチング
982 人事を尽くして天命を待つ
981 外的コントロールに対する社会一般の認識

*
980 優雅さということ
979 控える・持ち上げる
978 短所を直す・長所を伸ばす
977 コーチングの認定
976 コーチングの研修
*
975 自分に寛容であれ
974 他人のふんどしで相撲をとる
973 フィードバックは北京ダックのようなもの
972 英語の勉強
971 便所の落書き

*
970 無能であっても理解ある上司
969 西はりま天文台
968 出ました、2.0
967 プラスアルファ
966 自分をつくらず正直に

*
965 鉢のとれた鉢かづき
964 学びは受身ではなくて取りに行く
963 今年は歩こう
962 すんだことだし、もう忘れましょうよ
961 星空ウォッチング

*
960 想いは現実化する
959 「決める」までがコーチング
958 ナバホ族の精霊
957 日経経営セミナーに4度目の登場
956 心で見る

*
955 「気」の良さ + 自負 = 感化力
954 相反する価値観の使い分け
953 2008年はアウトドア元年
952 リアルとバーチャル
951 “I”メッセージは舌禍を最低限に抑える働きがある


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