990 夢や目標がない



とある医院の院長をされている方ですが、こんなことをおっしゃったことがあります。

「うちのナースはほんとにいい人なんだが、大きな欲望とか目標があるわけではない。だから、自己実現系の研修を受けると、戸惑って落ち込んでしまった」

さて、私がお相手するクライアントさんの中にはこんなタイプの方もおられます。小さい頃から夢や目標が思い当たらなかった、というのです。お金に対する欲望も淡白で、裕福ではないが金銭に執着がない、と言われます。話をしてみると本当に素直でいい方です。

この人は夢や目標を無理にでも持つべきなのでしょうか。持つに越したことはないのは明白です。しかし、本当に持てないのなら、無理することはないと思います。夢や目標はある意味、欠落です。欠落している人は欲望も大きい。しかし、夢や目標がさしてないという人は欠落がなく、それなりにまとまっているのでしょう。たとえばサザエさんの磯野家のメンバーに大きな夢や目標を持った人は不在だと思われます。そして、大きな夢や目標がないという人は男女ともに結構世間の大半を占めるのではないでしょうか。

私見ですが、こうした欠落のない人は他人のサポートに向くのではないかと思います。ボランティア活動をされている方は世間に多いですが、バリバリの野心家はボランティアなんてやらないでしょう。

夢や目標があれば自己実現に進み、ないのなら他人のサポート、たとえば子育てやボランティアに進む、これがそれぞれの本分というものではないか、と思い至った次第です。

989 出会いと転機



同じ頃コーチングを始めて、コーチ21の集合研修で同期生だった方と最近連絡が取れました。まる4年が経過しています。スカイプで話しましょう、と言ってくださったので、1時間ほど話をしました。コーチング専業のプロでやっておられるのですが、立派なものです。失礼ながら、昔集合研修で会った時はそれほど印象に残らなかった方なのですが、この人なりに日々努力を積み重ねて来られて、それなりの結果を出しておられます。

自分は、と見ると、結果は出していないわけではないけれど、大成功には程遠いです。しかし、積み上げてきたものも決してゼロではないわけだし、これから頑張ろう、と思った次第です。

この出会いをきっかけに、その方が付けているOコーチに私もコーチングをお願いすることにしました。Oコーチは10年のキャリアがあり、コーチングでは私より5年先輩。年齢もだいぶ上です。フィーが高い方なので、全く躊躇がなかったわけではないのですが、自分が高いフィーを払ったことがなければ、他人から高いフィーも取れないだろう、と思い直しました。今の低価格路線は悪くはないのですけれど、いつまでもこのスタイルを続けていくのもどうかと思うのです。といって、やっぱり今の路線がいい、ともし確信できるなら、今の路線を継続すればいいわけですが。

Oコーチとの契約は半年ですが、自分のコーチングやビジネス・モデルを見直すいいきっかけにしたいと思っています。

988 外に出て行くべし



メーカーの開発部門の方でしたが、

「コミュニケーションを改善する目的で、コーチングを体験したい」

と言われました。話は具体的でなく、なかなか要領を得ませんでしたが、要は開発力をアップするために、自分や部下のコミュニケーション力を改善したい、ということのようです。

コミュニケーション力は真剣に仕事に取り組んだ結果、結果的に改善するのであって、改善しようと思って改善できるものではないと思います。たとえて言えば、部活でバスケットバールとか野球に没頭した結果、体力・精神力がアップする、という感じでしょう。

「私のコーチングを受けたら、コミュニケーション力がアップします」

とも言えず、対応に苦慮しました。対応に苦慮するのは、コミュニケーションは手段であって目的ではないからだと思います。と言って、

「具体的に何が開発できたら開発力がアップしたことになるのですか」

と訊いても、ついぞ具体的な返事はなく、一般論・抽象論に終始しました。チャンク・ダウンを試みてもいっこうらちが明かない人はたまにいます。やむなく、

「異業種交流会に行かれて、いろいろな経営者の発表を聞いたり、親しくお付き合いしたりするのが一番感化されてコミュニケーション力が上がると思いますよ」

と言っておきました。

ただこれは言えると思います。自社に閉じこもっているだけでは、企業文化の改善には限界があります。外に出て行くべきです。そして世間一般の経営者がどう取り組んでいるのか、知るべきなのです。

987 プロのコーチは昼間は何をしているのか



だいぶ前のことになりますが、大阪市の産業創造館のあきないえーどでコーチングの起業について相談に乗ってもらったことがあります。相談員は公認会計士と中小企業診断士の資格を持つ大変優秀な方でしたが、

「プロのコーチは昼間は何をしているのですか」

とまず一番に訊かれたことが印象に残っています。パーソナル・コーチングを主体として、コーチとして独立したいという場合、まず押さえるのがここのポイントでしょう。クライアントは普通ビジネス・パーソンであり、昼間は仕事をしていて、家にいないはずだからです。

コーチとして独立する、という言葉はあちこちで聞かれますが、この点が不思議とないがしろになっていると思います。

私なら、昼間は今の仕事を続ける、と答えます。なかなか二足のわらじは履けないものですが、幸い私は通勤時間極小の内勤役員なので、何とか可能なのです。本業も通常は残業2時間しています。仕事で社会参加していれば、いろいろな人との出会いがあり、安定した収入もある。これを捨てなくて済ませられるなら、それに越したことはありません。

通常プロのコーチとして成功している人は、昼は講演業、研修業、執筆業をやっているものです。その意味では兼業と言えないこともありません。全く大成功しておられる方もいらっしゃいます。私など足元にも及びません。上には上があるものですが、羨んでも仕方がないのです。しかし、私も本は書いたし、一応講演や研修に声はかけていただけるようにはなりました。ここはマイペースでやっていくしかありません。二足のわらじでどこまでいけるのか、これもチャレンジです。

986 コーチングの金銭感覚



金銭感覚に関してコーチング業界の内側にいる人と外側にいる人とはかなりズレがあるのが実情です。

コーチング業界は上級資格者がヒエラルキーをつくっており、上級資格(認定)を取得するためには、上級資格者のコーチングを受けることが義務付けられているわけです。ネットワーク・ビジネスみたいなものと言えばわかりやすいでしょうか。だから上級資格を目指す人は高い料金を払って上級資格者からコーチングを受ける一方、資格取得後はその逆をやります。コーチング料金は月4〜5万ぐらいが相場ではないでしょうか。世間の感覚で言うと驚くほど高いです。

世間のサラリーマン家庭ではこの金銭感覚についていけないでしょう。私はプロの演奏家をコーチングさせていただいたことがあります。かなり名の通った団体に所属される方ですが、月2万円で3か月分と持ちかけたところ、

「月々の分割でお願いできませんか、プロの音楽家の実情はご存知でしょう?」

とおっしゃったものです。これがまさに世間一般の金銭感覚なのです。

お金をもらうほうは多ければ多いほうがいい。しかし、フィーがあまりに高いと世間一般の方々と接点がないことになります。このあたり悩ましいところです。個人的にはプロとして料金を頂戴できるなら、あまり金額にはこだわらないのが正解かと思います。でないと心安らかではありません。

やっぱり無理なく高い料金を請求できるよう、自分のブランドを中長期的につくっていくのが王道だと考えます。上級資格は個人的に抵抗ありますが、王道のひとつであるのは間違いありません。稼げるようになるためにはそれに見合った投資が必要、ということですね。
999 畢竟何を学ぶべきか
998 信によって立つ
997 今やってることと陸続き
996 わかっていても問いかける

*
995 祈りて願ふ事は、すでに得たりと信ぜよ、さらば得べし
994 人見て法説け
993 長く続けたほうが勝ち
992 よくある話ですね
991 良きクライアントは良きコーチである

*
990 夢や目標がない
989 出会いと転機
988 外に出て行くべし
987 プロのコーチは昼間は何をしているのか
986 コーチングの金銭感覚
*
985 先制攻撃
984 自己啓発セミナー系社員研修
983 転職でコーチング
982 人事を尽くして天命を待つ
981 外的コントロールに対する社会一般の認識

*
980 優雅さということ
979 控える・持ち上げる
978 短所を直す・長所を伸ばす
977 コーチングの認定
976 コーチングの研修

*
975 自分に寛容であれ
974 他人のふんどしで相撲をとる
973 フィードバックは北京ダックのようなもの
972 英語の勉強
971 便所の落書き

*
970 無能であっても理解ある上司
969 西はりま天文台
968 出ました、2.0
967 プラスアルファ
966 自分をつくらず正直に

*
965 鉢のとれた鉢かづき
964 学びは受身ではなくて取りに行く
963 今年は歩こう
962 すんだことだし、もう忘れましょうよ
961 星空ウォッチング

*
960 想いは現実化する
959 「決める」までがコーチング
958 ナバホ族の精霊
957 日経経営セミナーに4度目の登場
956 心で見る

*
955 「気」の良さ + 自負 = 感化力
954 相反する価値観の使い分け
953 2008年はアウトドア元年
952 リアルとバーチャル
951 “I”メッセージは舌禍を最低限に抑える働きがある


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