■ 喫煙者が禁煙できない理由

　ノンスモーカーが喫煙者に禁煙を勧める・・・
　そういう場面では「禁煙が簡単にできるなら、言われるまでもなく禁煙している！」と思ってしまいます。
　実は、禁煙を望んでいる喫煙者は非常に多のです。
　しかも、禁煙や節煙を試してみた喫煙者は多く、中途半端に試した禁煙や節煙の経験が裏付けとなって、その反発心は増幅されるのです。
　「禁煙どころか本数を減らそうとするだけで、ストレスとなって、かえって本数が増えるというのに・・・。」
　という気持ちまで強くなり、禁煙なんてやっても無駄。私はタバコにやすらぎを与えられているんだと思うようにまでなってしまうのです。

　さらに付け加えれば、タバコを吸わない人に禁煙を勧められると、タバコを吸わない人からバカにされているような気がしたり、蔑んで見られているように思うものなのです。
　タバコを吸わない人から禁煙を勧められると、妙に反発的になったり、機嫌が悪くなったりする人が多いと思います。その理由はこういう心理的な背景が大きいのです。
　面白い現象ですが、「喫煙者　禁煙話を　煙たがり」といったところでしょうか・・・

　　■ きっかけ

　学生時代の友人に会い、禁煙を勧められました。
　ただ、今回の場合、禁煙に対する魅力に少し惹かれかけていたことと、友人に勧められたタイミングとがたまたま一致したのが良かったのかも知れません。
　その魅力というのは、「口臭対策」でした。
　というのも、このＨＰで「口臭」の原因を紹介しましたが、タバコによる口臭だけは禁煙できないんだから仕方がないと思っていました。
　しかし、喫煙者の口臭の最大の原因が「タバコ」であることくらい誰もがわかっていることです。
　そこで、「自分に偽っても仕方がないやん。最強の口臭対策は禁煙しかないねんで。」と、ようやく思い始めたのです。
　しかも、「禁煙奮闘記」なるものでも紹介できるんじゃないかな・・・と淡い期待もありました。

　　■ 禁煙法

　巷では禁煙カウンセラーや禁煙アドバイザーが市民権を獲得し、カウンセリングには保険が適用されるらしい・・・。 　なかには、タバコをやめるのに十万円を超える出資をする人までいるという噂も聞いています。
　そうまでしなければやめられないタバコとその副産物であるヤニまみれの口臭・・・。

　ところが、簡単に独りで禁煙できる方法があるらしい・・・禁煙カウンセラーもバイブルにする本・・・

　「禁煙セラピー―読むだけで絶対やめられる 」です。

　トミーズの雅さんがこの本で禁煙が成功し、
「アレン・カー （この本の著者）さん。ありがとう！」
　というお礼が本の帯になっていることでも話題になっていました。
　この本の存在は以前から知っていましたが、本を読むだけで禁煙できるなら誰も苦労はせんのになぁ・・・。と半信半疑だったのも事実・・・

　しかし、禁煙を勧める友人は、「この本を読んでタバコをやめていっている知り合いが続出している」と力説するのです。

　学生時代、中国土産のタバコがきっかけで、私は喫煙常習者となりました
　そしてその「KISS」というタバコを買ってきてくれたのが、タバコを吸わないその友人でした。
　それからというもの、際限なくタバコを吸う私を見ては、責任を感じて禁煙を勧めてくるようになっていました。

　本を読むだけでさよならできるなら安いものです。
　とにかく、試してみることにしました。

　　■ 効果

　残念なことになりました。 　「禁煙奮闘記」は叶わぬ夢となってしまったのです。
　本当に読むだけで、奮闘の必要もなく、あっさり禁煙できてしまいました。

　奮闘記を紹介できない代わりに本の内容を紹介したいのですが・・・
　もしここで本の内容を詳細に紹介し、禁煙を勧めたとしても、喫煙者にとっては「ただ煙たいだけの文章」でしかありません。
　禁煙のためには、 　　�@喫煙者自身が喫煙そのものを理解する必要があり、�Aそのことを自体を理解するには、�B喫煙者自身の受け入れ態勢を整えるための準備が必要なのですから・・・
　受け入れ準備の期間だけで禁煙できるといっても過言ではないでしょう。
　そもそも、著作権に抵触してしまう恐れもあります。「煙たがられて罰せられる」なんてまっぴらゴメンです。
　といことで、奮闘できなかったかわりに、以降にはその本の魅力について、読んでいたときの心境など交えて報告します。

　　■ 本の魅力

・読み始め

　本には、「読み終わるまでタバコを止めないでください。」とあり、気楽に読み始めました。
　私は本を読むのが遅く、通勤時間（乗り換えなどがあるので落ち着いて読めるのは10分程度）だけの読書でしたが、２週間位で読んでしまいました。
　自分でも驚いています。
　しかも、冒頭だけで「よし。この本に従ってみるか。」と思うことができました。
　（人にもよるでしょうが、少なくとも私はそう思えました。）
　それからは読むのが楽しくなり、会社の喫煙コーナー（非常階段の踊り場なのですが・・・）でも読む始末。

　しかし、残り1/3 程度となったとき、少しだけ異変が起こりました。


・いきなりのペースダウン

　それまで、本を読んで
　　「喫煙者の心理と禁煙できないカラクリはそういうことだったのか・・・。」
　　「これなら俺も辞めれるぞ！」
　と意気込んでいたのに、急にペースが落ちました。

　禁煙する自分を恐れている自分がそこにいました。
　ノンスモーカーには理解できない喫煙の心理・・・
　このことも本には示されていました。
　あまりにも反論の余地がない内容と、読み始めたときの禁煙への決意に対し、
　　「自分はこれを読み終えればタバコは吸ってはいけない・・・本当に耐えれるのだろうか・・・」
　　「本当に自分は失敗せずに止めれるのだろうか・・・」
　　「今回止めれなければ、一生止めれないような気がする。時期を延ばすべきか・・・」
　そう、必ず止めれるという自信とは裏腹に、タバコを吸わない生活が想像できないために生じる不安。
　その不安のために何か大切なものを失いかけているかのうような錯覚に陥る自分・・・


・そしていきなり

　そんな気持ちのなか、帰りの電車で続きを読む前に現在の位置を確かめ、
　「残りのページはまだありそうだし、しばらくはタバコが吸えるなぁ・・・よし、よし」
　とページをめくると、「さぁ、今から禁煙しましょう。」の文字が！！
　本に従うと決意した自分を裏切る気はないため、本のページが間違っているのだと、何度も前後のページや目次、乱丁の有無などを調べる自分がいました。
　予想外に早く訪れたＸデーに困惑し、帰りの電車の中で軽いパニックを起こしてしまう自分・・・
　今になると結構笑えます。
　しかし、予想外だったとはいえ、確かに記念すべきＸデーは訪れたのです。
　それは、2005年11月21日の最終電車の中でした。
　「失敗しそうな人や自信がない人はもう一度本を読んでください。」とあり、もう一度読もうかなぁ・・・と考えてしまいましたが、
　最寄りの駅に着く直前に読んだ文章が私を救ってくれました。
　「失敗することを恐れて進展がないより、失敗するかも知れないけどやろうすることは大きな称賛に値する」
　おかげで決意は固まりました。
　本の指示にあるように、玄関の前で私は最後の１本に火を着けました。ゆっくりと味わいながら吸うために・・・


・それからは

　次の日からは不思議なことに「タバコを吸いたい！」という衝動には駆られていません。
　今日でもう３週間が過ぎました。我慢する必要がない禁煙方法が本当にあったとは・・・
　本当に、ここまで前向きな禁煙ができるとは思ってもいませんでした。

　最後に私からも言いたい。「アレン・カーさん。ありがとう！」



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