高尿酸血症・痛風に関する豆知識

　高尿酸血症・痛風について知ったことをご紹介します。

　　■高尿酸血症・痛風って？

高尿酸血症とは

　血液中の「尿酸」の濃度が高い状態のことを言います。
　血中の尿酸値が 7.0 mg/dl 以上で、高尿酸血症と診断されます。
　特に血清尿酸値が 8.0mg/dl を超える状態での長期間の放置や、治療の中断がある場合、合併症を引き起こすと言われています。



痛風とは

　高尿酸血症がさらに悪化し、痛風発作、痛風腎などの症状が伴った状態です。
　血液中の尿酸の濃度が高くなると尿酸塩と呼ばれる尿酸の結晶ができます。
　ちなみに、英語では「GOUT」らしいです。



尿酸とは

　プリン体という物質が分解されたときに生成される老廃物です。
　プリン体は細胞の中の成分なので、新陳代謝によりその役目を終えたときの残骸が尿酸となります。
　通常は腎臓から尿として排泄されます。
　尿酸が多くなりすぎると血液中に蓄積されます。



プリン体とは

　細胞内の遺伝子（ＤＮＡやＲＮＡなど）を構成する核酸主成分のひとつで、エネルギー伝達物質としての役割があります。
　食事からも摂取されます。食べ物に含まれるプリン体の量については”食べ物とプリン体の量”に示します。



痛風発作とは

　痛風結節の一種で尿酸塩が関節に沈着して急性関節炎を起こした状態をいいます。
　関節炎は主に足の親指の付け根が多いようですが、手の指に出る場合も少なくないようです。
　高尿酸血症の約10%の人に発作が起こるそうです。



痛風結節とは

　尿酸塩が関節や血管に溜まった状態を痛風結節といいます。
　痛風結節は、関節だけではなく、耳たぶなどの軟骨の周辺、腱や皮下組織などにもできます。
　関節炎のほか、沈着して米粒大〜コブ状の肉芽腫組織をつくります。



痛風腎とは

　尿酸塩が腎臓の尿細管にたまり、腎臓の機能が低下した状態をいいます。
　結石、腎不全になる場合もあります。





尿酸塩ができるまでのイメージ






高尿酸血症になるタイプ

　尿酸は細胞の活動により生成され、尿として排泄されます。
　生成と排泄のバランスが崩れることにより血液中に蓄積され、高尿酸状態となります。
　具体的には、体内で尿酸が生産されている量に対して排泄する量が追いついていない状態で、以下の３タイプとなります。
　これらのタイプにより、治療や薬の種類がかわるようです。




通　常	排泄低下型	産生亢進型	混合型
生産 ＝ 排泄	腎臓から尿酸が排泄されにくい	肝臓で尿酸がつくり出されやすい	両方を併せ持つ

　　■高尿酸血症・痛風の傾向と合併症

高尿酸血症・痛風の要因

　高尿酸血症は、遺伝的体質、食生活、ストレスが原因と言われています。
　日本で痛風患者が急増したのは1980、90年代のようですが、これは、食生活の欧米化によるものだと考えられています。
　気になる食事で摂取するプリン体との関係ですが、高尿酸血症との関係はあるようです。
　しかし、面白いことに、痛風発作と食事で摂取したプリン体の量とは、それほど関連しないことが最近の研究でわかってきたようです。
　むしろ、痛風発作はストレスとの関係が指摘されており、今後の研究で明らかになっていくことと思われます。


高尿酸血症が引き起こす合併症

　脂質異常症、糖尿病、高血圧などを合併します。
　合併症が引き起こされる原因は解明されていないようですが、心疾患や脳血管障害のリスクが高くなることはわかっていますので注意が必要です。

　　■予防・対策

　高尿酸血症・痛風の予防・対策を並べてみました。



減量する

　肥満に伴い尿酸値が増加する傾向があるようです。
　私も初めて痛風発作になってから減量しましたが、効果覿面でした。
　ただし、食事のリズムと栄養バランスには気をつけてください。
　急激な減量は尿酸値が上昇することもあるそうです。



水分をたくさんを摂取する

　尿酸を体内から排泄するのは圧倒的におしっこです。
　また、高尿酸が血液中の尿酸の濃度の問題でもあります。
　水分を大量に摂取することは、この両方に効果が発揮されます。
　一日２リットル〜４リットルの水分補給が必要とも言われていますので、補給にも努力が必要です。
　しかし、ジュース、炭酸飲料、缶コーヒーなどを多く摂取すると、減量の妨げや糖尿病を合併する引き金にもなりかねません。水分補給は”水”か”お茶”がお勧めです。


アルコールは過剰に摂取しない

　アルコールを過剰に摂取すると尿酸の排泄が妨げられ、尿酸値が上昇するようです。
　また、お酒類の中でプリン体が多く含まれているビールが危険視されてきましたが、プリン体の量よりも、アルコールの摂取による悪影響のほうが問題が大きいそうです。
　アルコールの摂取はほどほどに・・・
　
　毎日摂取する場合の適量の目安は以下のようです。
　調べたところにより異なるので緩めと厳しめにわけました。



種　類	厳しめ	緩め
ビール	中びん1本	大びん1本
日本酒	1合	1合
焼酎	ぐい呑み1杯（70 ml）	2/3合（120 ml）
ウイスキー・ブランデー	ダブル1杯	ダブル1.5杯




適度な運動

　適度な運動は、肥満の予防、高脂血症や高血圧などの改善、ストレスの解消に役立ちます。
　しかし、特に高血圧を合併している場合などには、運動は適度に抑えることが必要です。

　　■食べ物とプリン体の量

　これまでプリン体を多く含んだ食事の摂取こそが、体内に尿酸を蓄積させる悪の根源のように言われてきました。
　しかし、体内で尿酸が作り出される要因のうち、食事の摂取によって生産される割合は25％程度だそうです。
　結局は、体質の問題などが大きい割合を占めていることがわかってきたため、医者の指導のあり方も変わってきているようです。
　とはいえ、プリン体を多く含む食事を知っておくことは正しい予防にも繋がるため、ここで紹介しておきます。
　
　ちなみに、食事から摂取されるプリン体の総量の目安は、1日400mg
　これに対して、食品100g中に含まれるプリン体量を”「高尿酸血症・痛風のガイドライン」日本痛風・核酸代謝学会”より引用します。



極めて多い (300mg〜)	鶏レバー、マイワシ干物、イサキ白子、あんこう肝酒蒸し、鰹節、煮干し、干し椎茸
多い (200〜300mg)	豚レバー、牛レバー、カツオ、マイワシ、大正エビ、マアジ干物、サンマ干物
少ない (50〜100mg)	ウナギ、ワカサギ、豚ロース、豚バラ、牛肩ロース、牛肩バラ、牛タン、マトン、 ボンレスハム、プレスハム、ベーコン、ツミレ、ほうれん草、カリフラワー
極めて少ない (〜50mg)	コンビーフ、魚肉ソーセージ、かまぼこ、焼きちくわ、さつま揚げ、 カズノコ、スジコ、ウインナソーセージ、豆腐、牛乳、チーズ、バター、鶏卵、 とうもろこし、じゃがいも、さつまいも、米飯、パン、うどん、そば、 果物、キャベツ、トマト、にんじん、大根、白菜、ひじき、わかめ、こんぶ





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