●コンセプト:
この世界では、鎖国政策を実施しなかった江戸幕府の世界を少し見てみたいと思います。イメージとしては、清水義範氏の著書「開国ニッポン」がかなり近いと思います。無論ターニングポイントや視点は、違うものとなるでしょう。それに、日本人も適度に外に出歩き、そして住み着くようになもなると思います。
また、天下太平の江戸幕府をガジェットとする以上、可能な限り戦争、争い以外の視点から見ていければと思います。この世界での日本に与えるコンセプトは、「開国路線を維持しつつ、可能な限り対外戦争をしないこと」です。
ターニングポイントは、権現様が晩年に二代目将軍徳川秀忠に「絶対に鎖国するな」と遺言も含めて命じていたとします。
それだけです。
どこかの誰かが死なずに済んだり、突然の英雄、天才が現れるというような事はありません。
ちなみに史実なら、自らが凡庸な事を知り抜いているとも言われる徳川秀忠は、自分の手に余ることは全部やらないか部下に丸投げしてしまいます。ある意味賢明な政治運営と言えます。ただし、鎖国というドラスティックな日本らしくない大改革も、この凡庸な二代目というある種理想的な君主がいなければもう少し違った形になったかもしれません。極論、秀忠は、自分の手に余るからヨーロッパ外交とキリスト教問題から逃げるために鎖国したとすら言えるでしょう。
しかしこの世界の徳川秀忠は、絶対服従なパパに強く言われたため、頑なに日本の開国を守ります。秀忠にとっては、見たこともないデウス様よりも子供の頃から「あの目」で見続けられた権現様の方が、天と地ほど差があるぐらい怖いのです。何があっても、遺言は守ろうとするでしょう。彼にとっては、キリシタンが攻めてくるという言葉よりも、権現様が枕元に立って叱ることの方が現実的なのです。
なお、徳川幕府二代目征夷大将軍となった徳川秀忠の治世は、形式上では1605年から1623年まででした。ですが、1632年まで生きて、家康と同じく大御所として二元政治を行い政治に大きな影響力を持ちました。そして秀忠より余程優秀で、恐らく理想の三代目だった三代将軍徳川家光も、先代二人の政治路線は少なくとも治世半ばまで守らなければならなくなります。つまり日本が完全に鎖国してしまう頃です。
しかし今回は、二代続けて開国路線が維持されたため、家光もこれを踏襲。キリシタンや浪人対策に頭を悩ませながらも、外国とのつき合いを一定レベルで維持していく事になります。
それでは今回も虚構の旅に出かけましょう。
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